【潰瘍性大腸炎】リウマチを合併した私の症例【指先が痛いです】
潰瘍性大腸炎は、自己免疫疾患に分類されますが、リウマチを合併することが少なくありません。
厳密にいうと、腸炎に関連するものは関節リウマチと別の疾患になりますが、私の症例をもとに解説をしていきます。
はじめに
6つの診療科に通う男、作業療法士のコージです!
抗リウマチ薬(メトトレキサート)の服用を始めてから、2カ月目になりましたが、まだまだ指が痛いです↓
#リウマチ
痛みが強いので、ロキソニンテープを貼りました😱いつもは指先だけですが、今日は手首も痛いし、範囲が広がってきている気がします。
抗リウマチ薬は #潰瘍性大腸炎 に伴うものでは、効果が乏しいと言われているので、不安です😥 pic.twitter.com/mcm4ZogeU9
— コージ@難病系作業療法士フリーランス (@koji_ot) April 5, 2020
#リウマチ
痛みが強いので、ロキソニンテープを貼りました😱いつもは指先だけですが、今日は手首も痛いし、範囲が広がってきている気がします。
抗リウマチ薬は #潰瘍性大腸炎 に伴うものでは、効果が乏しいと言われているので、不安です😥 pic.twitter.com/mcm4ZogeU9
この記事に、「潰瘍性大腸炎にリウマチを合併」などとタイトルをつけてしまいましたが、実は別の病気です。
この辺りは、慶応義塾大学病院が詳しく研究をしているので、ホームページを引用しながら話を進めていきます。
潰瘍性大腸炎に伴う関節炎について
まずは、潰瘍性大腸炎に伴う関節炎については、どちらも自己免疫の異常が原因とされていますが、関節リウマチとは別物になります。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)に伴う関節炎は、その名前の通り、炎症性腸疾患をもつ人におこる関節炎です。
それぞれ異なる疾患ですが、1950年代くらいまでは関節リウマチとの区別がはっきりとはついていませんでした。1960年代になり、これらの疾患はリウマトイド因子という検査が陰性であること(関節リウマチでは陽性のことが多い)、仙腸関節炎(臀部にある関節の炎症)を伴いやすいことなど、共通の特徴を持つことから関節リウマチとは別の疾患であると認識され、1970年代に強直性脊椎炎、乾癬性関節炎とともに血清反応陰性脊椎関節症という一つの大きなグループにまとめられました。さらに現在では、必ずしもリウマトイド因子が陰性でないこともあることから、血清反応陰性脊椎関節症とは呼ばず、脊椎関節炎と呼ばれる大きなグループのなかに分類されました(強直性脊椎炎の頁を参照)。
疾患の発症には遺伝素因と環境因子が重要ですが、このグループの疾患では遺伝素因としてヒト白血球抗原(HLA)のB27遺伝子が発症のリスク因子であることが知られています。
リウマトイド因子が陰性の場合が多い
関節リウマチを診断するための、一つの指標としては、リウマトイド因子と呼ばれるものがあります。
リウマトイド因子は、採血をして血液検査で調べることができますが、潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸炎に関連する関節炎では陰性であるケースが多いです。
絶対に、リウマトイド因子が陽性だからといって関節リウマチ、腸炎だからといって陰性というわけではありませんが、このような違いがあります。
仙腸関節炎を伴いやすい
関節リウマチの場合、手関節や手指の小さい関節から病変が起こりやすいのが特徴ですが、腸炎に関連する関節炎では仙腸関節に炎症が見られることが多いです。
仙腸関節とは、腰の部分にある関節ですが、この写真の右手の指で押している部分が、ちょうど仙腸関節です↓
関節リウマチは、小さい関節から異常が起こり、腸炎に伴う関節炎は大きい関節から病変が見られる、というのが特徴になります。
現在の私は、指先にも痛みが出てきましたが、最初に異常が出現してきたのは、やはり仙腸関節でした。
HLA-B27遺伝子
潰瘍性大腸炎やクローン病は、難病に指定されていますが、遺伝的なものと環境的な要因が複雑に重なり合って、発症をすると考えられています。
そして、腸炎に伴う関節炎では、HLA-B27遺伝子が陽性であることが多いとされていますが、日本では陽性率が低いとされています。
詳しいことはわかっておらず、診断の参考にはなりますが、調べるための検査に、保険適用はありません。
私は主治医とも相談した結果、その他の所見から腸炎関連性の関節炎でほぼ間違いないこと、保険が適用されず自腹での検査になることなどから、検査はしていないのが現状です。
もしも、今後に検査をするようなことがあれば、このブログに追記をしていきます。
明確な診断基準はない
上記では、関節からリウマチと腸炎に伴う関節炎の違いについて触れましたが、実をいうと明確な診断基準はありません。
反応性関節炎、炎症性腸疾患に伴う関節炎ともに診断のための基準や、特殊な検査はありません。関節炎発症までの経過を丁寧に聴取し、身体所見を正確にとることが重要です。関節炎の評価のためX線やMRIといった画像検査を参考にすることはあります。
私の場合は、潰瘍性大腸炎を発症したのは今から約20年ほど前ですが、関節炎が出現・診断されたのは、5年前になります。
通常は骨破壊をきたしにくい
通常の関節リウマチは、病変が進行すると骨に異常が見られたり、骨破壊が起こることが特徴です。
骨破壊が進行すると、指先や手関節が曲がってきたり、様々な変形が生じてきます。
しかし、腸炎に伴う関節炎の場合には、骨破壊は起こらないとされています。
関節炎は大きく分けると末梢性と体軸性に分けられます。末梢性関節炎は少数関節炎(5関節未満)の場合と多発関節炎の場合とがあります。少数関節炎は膝や足関節に起こりやすく、多発関節炎はそれらに加えて手指関節を含めた上肢の関節に起こりやすいです。関節リウマチと異なり、通常は骨の破壊をきたしません。
もちろん、関節炎の症状が悪化してしまうと、絶対に起こらないというものではありません。
私の場合、数カ月前より関節炎の症状が進行してきたために、抗リウマチ薬を服用することになりました。
潰瘍性大腸炎と抗リウマチ薬について、詳しくは後述します。
また、治療については腸管の症状をコントロールすることにより、関節炎にも繋がると考えられています。
腸管病変に対する治療を強化することが関節炎の治療につながると考えられています。これまで関節炎を標的とした薬剤試験は行われていないため、実際にどの薬がよく効くのかはわかっていません。腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬であるインフリキシマブ(商品名: レミケード®)、アダリムマブ(商品名: ヒュミラ®)は潰瘍性大腸炎、クローン病ともに保険適用があり、さらに関節リウマチにも効果があるため、炎症性腸疾患に伴う関節炎にも効果が期待されています。
一般的には、潰瘍性大腸炎の腸管症状と関節炎は連動し、クローン病では症状が一致しないことが多いです。
しかし、潰瘍性大腸炎の私ですが、症状は連動していません。
お腹の調子が良くても、関節が痛くてたまらない時もありますし、関節痛がひどくても大腸は落ち着いていたり、さらにはどっちも悪いときもあります。
潰瘍性大腸炎と強直性脊椎炎について
私もそうですが、潰瘍性大腸炎には強直性脊椎炎を合併することが多いです。
難病情報センターにも、そのように明記されています↓
その他に、眼(ぶどう膜炎、虹彩炎)、皮膚( 乾癬 )、腸管(クローン病、潰瘍性大腸炎)などの疾患を合併することがあります。
このブログでも、潰瘍性大腸炎に強直性脊椎炎に合併~といつも記事を書いたりしていますが、厳密にいうと違う疾患になります。
腸炎関連性脊椎炎に分類される
強直性脊椎炎は、脊椎関節炎のなかに分類されますが、腸炎に伴う脊椎炎である場合には、腸炎関連性脊椎炎にあたります。
詳しくは、慶応義塾大学病院のホームページに分かりやすい図がのっているので、そちらをご参照ください↓
厳密には、強直性脊椎炎とは別物になりますが、腸炎に関連するものであっても、症状や治療などについてはほぼ同じです。
私が行っている治療については、他の記事で詳しく紹介をしているので、そちらをご覧になって頂ければ幸いです。
こちらが、治療経過についての記事一覧になります↓
潰瘍性大腸炎と抗リウマチ薬について
先ほど、腸炎に関連する関節炎の治療で触れましたが、関節リウマチと潰瘍性大腸炎の薬は、どちらにも効果があるものがあります。
なかでも、最近になって登場してきた、ヒュミラやレミケードなどの生物学的製剤は、関節リウマチと炎症性腸疾患の両方に効果があるとされており、私も使用した経験があります。
そして、これが大きな違いになりますが、通常の関節リウマチは指定難病に入っていませんが、潰瘍性大腸炎は難病に指定されているので、医療費の助成を受けることが可能です。
※悪性関節リウマチは、難病に指定されています。
たとえば、生物学的製剤のヒュミラが一般的には数多く使われていますが、この薬は一本の価格は約6万円ほどであり、非常に高価なものです。
日本は国民皆保険なので、3割負担でも18500円ほどになりますし、月に二本の使用を考えると、このヒュミラだけで毎月の医療費は約4万円にまでなってしまいます。
しかし、潰瘍性大腸炎は指定難病なので、腸炎に伴う関節炎の治療では、受給者証を適用させて医療費の助成を受けることが可能です。
受給者証を、他の病気や診療科で使用する方法については、こちらの記事をご参考ください↓
メトトレキサートを適用外処方
現在の私は、免疫抑制薬のイムランと生物学的製剤のヒュミラ、ストロイドであるプレドニンを服用していますが、それでも関節炎の症状が悪化してきました。
もともとは、仙腸関節の炎症がメインでしたが、関節エコー検査を行ったところ、指先にも強い炎症が起こっています。
一応は、腸炎に伴う関節炎では骨破壊が起こる可能性は低いとされていますが、このまま進行したら指が変形してきてもおかしくはありません。
そこで、主治医の先生方と話し合った結果、抗リウマチ薬であるメトトレキサートを、二カ月前より服用することになりました。
実は、メトトレキサートは潰瘍性大腸炎への適応はされていないので、適用外での処方となっています。
しかし、こちらも潰瘍性大腸炎の受給者証を適用させることにより、医療費の助成を受けることができています。
また、メトトレキサートは、通常の関節リウマチであれば約7割の患者さんに効果があるとされていますが、腸炎に伴う関節炎への治療効果は乏しく、こちらは3割から4割だとされているようです。
まだまだ、抵リウマチ薬は飲み始めたばかりなので、何か変化があればこちらもブログに追記していきたいと思います。
メトトレキサートについては、こちらの記事で詳しく解説をしています↓
終わりに
わが国では、潰瘍性大腸炎の患者さんが増加傾向にありますが、関節炎やその他の症状を合併することは少なくありません。
私の症例は、かなり特殊なケースかとは思いますが、何らかの参考になれば幸いです。
この記事やブログを読んで、何かご意見や治療についての情報を頂ける医師や医療従事者の方などがいれば、ご連絡を頂けたらと思います。
また、逆に私に何か協力ができることがありましたら、研究機関や大学病院の先生方はお気軽にご連絡をください。
私の実績などは、仕事の依頼を募集しているページでも、紹介をしております。
最後に、最近になってYouTubeのチャンネルを開設しましたので、紹介をして終わりにしたいと思います。
こちらの動画でも、受給者証を他の病気や診療科で活用する方法について、解説をしていますので、ぜひご覧ください↓
YouTubeでは、難病・障害に関する制度について、分かりやすく解説をしていく予定です。
ぜひ、合わせてチャンネル登録も、よろしくお願いします。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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